疲れてる時は甘いものw







宿の夜




「ふぁー疲れたぁ〜…」
 クラドの宿屋の一室に、疲弊しきった少年の声が響いた。
 今夜の宿として借りた二人部屋にたどり着くなり、ルシアンは盛大なため息とともにその場にへたり込んで
しまった。
 「…ルシアン、疲れたのはわかるがせめて荷物を置いてからにしてくれ」
 依頼のためとはいえ、確かに今日は歩き回ったせいでボリスもかなりの疲労感に襲われていたのだが、それ
でも荷物を脇に置きつつルシアンをたしなめると、何時も羽織っている深緑の外套に手をかけた。
 かすかな衣擦れの音に釣られてルシアンが顔を上げると、丁度彼に背を向ける形でボリスが外套を脱いでい
る所だった。
 厚手の外套を取り去ってしまえば、大剣を扱うにしては華奢ともいえる細身のシルエットが現れる。ルシア
ンより重量のある武器を使っている割には見た目でそうとわかるほどの筋肉質でもなく、背に流した黒髪が白
い肌に一層映えて美しい。
 そして何より、少年の目を引いたのは…
 「ボリスってさ、腰細いよねぇ〜」
 「っルシアン…?」
 言うが早いか背後から抱きついてきたルシアンに、驚いて若干上ずった声を上げるボリス。ルシアンのこう
いった突発的な行動は、護衛としてそれなりに時間を共有してきた今でも慣れることはなかった。
 そんな相手の動揺など気にも留めずに、ルシアンは腰に絡めた右手はそのままにもう片方で今度はボリスの
手を捕まえる。
 「指も剣持ってるのに長くて細くて…」
 いいながら顔の高さまで少年の手を引き上げると、ついと顔を寄せた。
 「なっ…ルシ…っ!」
 困惑気味にルシアンの動向を窺っていたボリスは、ぱくりといきなり自身の指を咥えられたことに目を見開
いた。抵抗の意を示そうとしてしかし、口中から引き抜こうとした指から伝わった感覚に思わず漏れそうにな
った声をとっさに唇をかむことでやり過ごす。
 ルシアンは口に含んでいた指を引き抜くと、今度はゆっくりと舌で指の一本一本の形を辿るように丹念に舐
めはじめる。そうしながらちらり、とボリスを見やると、彼は空いた片手で口元を押さえ、なんとか声をこら
えていた。
 しかし、そうして声を抑えていても。耳元までうっすらと色づいた肌や時折ぴくりと跳ねる肩がボリスの状
態を如実にあらわしていて。
 「ボリス…かわいい」
 「…っぁ……」
 耳元に息を吹きかけるように囁けば、それだけでボリスは小さく息を呑んでより一層こらえるように眉根を
よせた。上気した頬がさらに赤みを帯びるのをルシアンは満足気に眺めると、腰に絡めていた手を下肢に伸ば
して、服の上からやんわりと刺激し始めた。
 「ひぁっ…やめっ…ルシ、アン…!」
 びくりと体を一瞬跳ね上げて、ボリスはそれでも必死に背後のルシアンに訴えかける。
 「ん?こっちがいいの?」
 ボリスの首筋を唇で辿りながら、今度はもう片方の手で彼の上着をたくし上げ、色づき始めた胸の飾りを軽
く摘む。
 「あっ…やぁ…っ」
 たまらず声をあげたボリスは、小さな子供がいやいやをするように緩く頭を振って迫る快感から逃げようと
するのを、ルシアンは廻した両腕で押さえ込み、ボリス自身に直接触れる。
 「あぁっ…や、んっ!」
 今まで以上の快感にボリスはとうとうこらえきれずに嬌声を上げて喉をそらした。足は力が抜けてもうすで
に立っているの辛い。
 がくがくと痙攣したような足で立つことはできずに、ボリスはルシアンに凭れ掛かった。
 そんなボリスの姿に嬉しそうに目を細めたルシアンは、目の前に差し出された白い喉に所有の印を刻むと、
それすら刺激となった彼は限界を越えてしまったのか、かくりとその場にへたり込んだ。
「ボリス…」
 合わせて座り込んだルシアンが呼びかけるのにボリスが首をめぐらせると、深く口付けられた。
 「…ん…っふぅ…」
 歯列をなぞり口中を犯してくるルシアンに、ボリスもおずおずと舌を絡めると強く吸い上げられて、ボリス
がくぐもったあえぎを漏らす。
 息苦しさにボリスが顔を離すと、ルシアンが大きく上下させている肩や項に赤い華を散らしていく。
 その間にもボリス自身を刺激し続けていると、段々喘ぎ声が切羽詰ったものに変わり、小刻みに全身を震わ
せて彼の限界を知らせてきた。
 「ボリス、イっていいよ」
 いいながら、手の動きを早めてきたルシアンに追い立てられて、ボリスの喘ぎ声が高くなっていく。
 「あっあっあっ…ルシアンっ!や、もう…っ」
 先走りで滑る先端のくぼみを、爪がカリリと擦れた瞬間、びくりとボリスのしなやかな体が震えて背が弓な
りに逸れた。
 「んぁあああっ!」
 一際高い嬌声を上げて達したボリスが、荒い息をつきながらくたりとルシアンに体を預けた。
今だ絶頂の余韻に弛緩しているボリスの体を、ルシアンが覆いかぶさるようにしてうつ伏せにさせると彼の
ズボンを膝までずり下ろした。
 「ルシアン…」
 快楽の余韻に甘さがにじんだ声でボリスが見上げるのに、ルシアンも情欲に染まった瞳で笑んでボリスの額
に軽く口付けた。
 「感度いいよね、ボリスって」
 「…そんな事は、言わなくていい…っ」
 ルシアンの言葉にさらに朱に染まった目元を誤魔化すように、強気な言葉を紡いで眉を吊り上げる。
 しかし、快楽に溶けた瞳では説得力など欠片もなく、さらにルシアンを煽るだけにしかならなかった。
 「だって本当のことだもん。感じてるボリス、すっごくかわいいから僕大好きだし」
 にっこりと人懐っこいあの笑顔で、けれどさらりと言われた内容に一瞬言葉に詰まるボリス。
 「あっ?!」
 言葉を失くしたボリスの隙を突いたように、突然ルシアンが彼の秘所に指を一本差し入れた。何度体を重ね
ても消えない異物感に思わず体を硬直させるものの、それもすぐに抜き差しされる指の快感に融けて、またあ
られもない声がこぼれ始める。
 指が増えるたびに艶を増す嬌声に、ルシアンも段々息が荒くなっていく。ボリスの潤んだ瞳から過ぎた快楽
に溢れた涙を唇で拭うと、それだけでもふるりと肩を震わせた。
 「あンっ…ふ、あ…っやぁっん!」
 やがて指の動きに合わせて、ボリスが無意識に腰を揺らし始めるのを、ルシアンが見逃すはずもなく。
 「ボリス…挿入れるよ?」
 頃合をみて指を引き抜くと、自身をゆっくりとボリスの秘所に宛がった。
 指とは比べ物にならない圧迫感に、ボリスは苦しげに眉を寄せながらも浅く呼吸を繰り返して、なんとか最
後まで受け入れようとするが、意志とは反対に体は反射的に逃げようとする。
 逃げを打つボリスの腰を両手で引き寄せると、ルシアンは一気に最奥まで貫いた。
 落ち着かせようとする間にも、ルシアンはボリスの背に赤い華を散らしていった。
 「ボリスのなかってあったかくて気持ちいいよね…」
 「…っだから、そんな事をい…ひっんン…!」
 耳たぶを甘噛みされながらの囁きに、ボリスが抗議しようとししたが、緩く突き上げられた衝撃に甘い悲鳴
を上げるだけになってしまった。
 「もうイイみたいだね…」
 痛みではなく快感を感じるボリスの甘い声に、ルシアンがゆっくりと焦らす様に動き始めた。
 馴染ませる間をおいてもやはり少しは痛みを感じるのか、眉間にしわを寄せたボリスを労わる様に顔中にキ
スの雨を降らせると、ボリスのイイところを重点的に擦りあげた。
 「ぁあっ…くっ…ぅん…あああっ」
 襲い来る刺激にたまらず背をそらしたボリスに、浮いた隙間から片手を前に廻してボリス自身を握りこんだ。
 一度達したボリス自身はそれでもまた力を取り戻して先走りの蜜を零している。
 蜜を全体に塗り広げていくようにしていくと、甲高い悲鳴が響いた。
 最初こそ突っ張っていた腕も今は力なく床に爪をたてているだけで、腰を突き出すようなあられもない姿に
ぞくぞくとした感覚がルシアンの背に走る。
 「すっごくかわいい…ボリス…」
 興奮に掠れた声でそれだけ言うと、やおら抜き差しする動きを早めていった。
 「?!ひゃぅ!…は、んっ…ルシアン…っ?」
 いきなり早くなった動きに驚いたのか、ボリスが振り向いたのにルシアンは深く口付けた。
 キツイ体制での深いキスに、ボリスが苦しげな喘ぎを漏らすのもかまわず、ルシアンは思う様口中を蹂躙し
ていく。
 「っあ!…や、んんっ…ひぁんっ…ぁ、るしあんっ…やぁ、もう…!」
 「うん、一緒にイこう?ボリス…」
 ようやく口付けから開放されたボリスが切羽詰った声で訴えると、ルシアンも頷いてさらに腰の動きを激し
くしていった。
 「ひっ…あっあっぁあん!…や、ぁああああっ!!」
 「…くぅっ…」
 一際高い声を上げてボリスが絶頂を迎えると、強い締め付けにルシアンも白濁を中に放った。





 翌日、疲れていたにも関わらず情事を交わしてしまった二人は当然ながら寝坊をし、結局はさらに一泊する
はめになったという。
 「ボリスぅ〜、食べさせてあげるよ!」
 「………。いい」
 さらに固い床の上で、激しい運動をした反動でボリスはその日一日ベッドから抜け出せなかったのはまた別
の話。
 「ほらほら、遠慮しないでってば!」
 「べつに自分で食べられ…っんぐ!」
 「おいしい?」
 「(別に腕は普通に動かせるんだが…)…ああ。…って、ルシアン?!なにを…っぁ」
 「ん〜?何って食事〜」
 「それは意味が違うだろう?!…やめっ」
 「だってボリスがすごくかわいいんだもん。僕もお腹すいてきちゃった」



 ………。翌日の出発もなんだか雲行きが怪しくなってきたようだ…。





 以上です〜。お粗末様でした…。
 初エロ話挑戦なのでお目汚しも甚だしいのですが…生暖かい目で見守ってもらえればいいかなと…orz
 今回何より恥ずかしいというか勇気を振り絞ったのは濡れ場描写よりボリたんをアンアン言わせることでし
た…。
 それでは限りなく駄文ですが失礼します。ここまで読んでくださってありがとうございました(*^^)







初ルシボリ小説にしてのっけからEROですか飛龍さん。
これは某所に投稿したものだったりしますw
なんというかもう腐れ具合がすでにやばいのが大変よくわかりますねぇ…。
普段がほのぼのしか書かないせいか、かなりつっかえてしまって文章が大分単調になってますな…orz
やっぱり読むのと書くのでは違いますね(^^;)














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