やっぱり一回きりはもったいないよねv







 「蝶の木が変質…?」
 いつものようにアレンから依頼の説明を受けていたときに、二人の騎士見習いは訝しげに眉を寄せ
た。蝶の木がおかしくなってしまったとクラドからの調査依頼がきたのは少し前の話だ。そのときは
彼らの他にあと二人の4人パーティーで解決したはずなのだが、また誕生石絡みの事件かと内心警戒
しながらアレンに詳細を尋ねたのが一昨日だった。また被害が出る前にとそれからすぐに支度を整え
て出発し、昨日は町で一泊しながら町長を始め村人からの聞き取り調査を経て、今日はすでにルシア
ンとボリスは現地調査のために蝶の木に向かっていた。
 クラドに赴いた当初は、前回と同じメンバーで行くべきかと思ったのだが、どうやらまだ被害がで
る前ようだった。
 問題になっている変質してしまった蝶の木は、クラドの町の人々が神聖視している大きな蝶の木の
いわば子供のようなものらしく、まだ若木の為か蝶を寄せる樹液も少ないおかげで毒蛾も少ないらし
い。またクラドから一番遠い場所に生息している為か、訪れる人も滅多にいないことが幸いした。
ただワープを必要とするほどではないが、町から直接向かうには距離があるおかげで、現地を確認し
て町に戻るにはどうしても近くに中継する場所が必要になってきた。考え込む二人だったが、それな
らと町長の妻が町から片道半日近くも離れている蝶の木のすぐ近くに旅人用に設けられた小屋を教え
てもらい、話にきいた範囲でも前回よりも規模は小さく二人で向かっても問題はなさそうだと判断し
て装備を確認しながら問題の木の近くにあるという小屋を目指した。
 町長から目的地までの詳細な地図をもらって、朝にクラドを立ったのだが、中継地点にたどり着い
たのは昼に近くなってからだった。
 時折人の手が入っているようで、古びてはいるが毛布や薪は湿気ていない。思ったよりも居心地は
悪くないのに安心して早めに昼食を摂ると、いよいよ歩いて数時間の現場に赴いた。
 迷路のような深い森の中を地図を頼りに進んでいく。森の中だけあって植物系の魔物が多く、剣で
切り伏せたり炎で焼いたりしながら慎重に進んでいった。やがて少し開けた草地が目の前に現れ、二
人の目の前に問題の木がようやく姿を現した。







 オイシイ?お仕事







 前にみた大元の大樹に比べれば、確かに細く頼りない若い木であるのが一目でわかる。しかし従え
る毒蛾の少なさを補うように蔦状の細い枝が唸りを上げて多数うねり、ざわざわと蠢いていた。
 「蛾と蔦は俺がひきつけるから、その間に本体を頼む」
 ライディアの長からの厚意で水の神殿から湧き出る水の入った瓶をルシアンに手渡しながら、ボリ
スが告げると、ルシアンが頷きながら瓶を懐にしまいこんだ。
 ルシアンが剣を構えたのを確認して、ボリスも剣を抜き蛾を引きよせながら爆を放った。
 派手な音と広範囲の攻撃に蔦と蛾が一斉に青年に群がった。その間にすばやく走りこんだルシアン
が蝶の木の根元に瓶の水を振り掛けるが、一瞬にして蒸発してしまった。
 細い木ではあるが、若い木であるだけに生命力も半端じゃなく強いのだろう。変質してしまった木
の邪気が清浄な力を嫌って反発したようだ。
 「ボリス!水が効かないよっどうしよう?!」
 円で牽制しつつルシアンの方へ駆け寄りながら、ボリスも考えをめぐらせる。今からまたライディ
アへ行くには時間がかかりすぎるし、おそらく大した効果はなさそうだ。クラドの町長は残念がるだ
ろうが、また被害が出る前に切り倒すしかなさそうだとボリスが考えを纏めた直後だった。 
 「ルシアンっ!!」
 鞭のようにしなった枝が、近くにいたルシアンを弾こうと唸りを上げて襲い掛かる。寸でのところ
でボリスが体当たりをしてルシアンは軽くよろめく程度だったが、代わりにボリスがまともに直撃を
受けて吹き飛ばされた。
 「っ…」
 「ボリスっ」
 受身を取ることもできずに受けた衝撃はすさまじく、一瞬意識を飛ばしたボリスの体を、すかさず
伸びてきた幾つもの蔦が捉えて絡みついた。
 親友を助けにいこうと駆け出そうとしたルシアンだったが、こちらは蝶の木本体と毒蛾の群れに阻
まれて距離を縮めることができない。
 すぐに意識を取り戻したボリスも、振り払おうともがくが絡みついた蔦に両腕を頭上で拘束されて
思うように剣を振るうことができない。
 「俺のことはいいから、早く本体を……っ?!」
 このまま足に絡みついた枝によろめきそうになるのを堪えながらルシアンに叫んだのと、ボリスに
絡んだ蔦が不穏な動きを見せ始めたのは同時だった。
 青年の四肢を拘束している蔦とは別の数本が外套を引き裂き、あるいは上着を裂いて肌を嘗め回し
はじめた。
 予想外の展開に一瞬瞠目して体が強張ったボリスが、より抵抗を激しくしたが、絡んだ蔦は容易に
外れず、さらに本数を増やして衣服を剥ぎ取っていく。
 「ボリス!!」
 「来るな!!」
 驚いたのはルシアンも同じで、目の前の敵を放り出しそうになったが、ボリスの鋭い一言にびくり
と肩をすくませた。
 「元を…倒せば…っ…は、やく…っ」
 肌を這う感触に、嫌悪感だけではないかすかな熱を煽られて、耐えるように目を閉じながら、必死
に言葉を搾り出す。
 ルシアンが戦闘に集中を切らさないようにと声をかみ殺しながら、せめて魔法で援護をとなんとか
詠唱を始めたボリスだったが、下肢に絡んだ刺激にびくりと体が跳ねた。
 「…っぅ…ん………ふ…っ」
 たやすく火がつく自身の体を恨めしく思いながら、羞恥に染まった顔を背けてただ膨れ上がる熱に
耐える。
 「!?…んん…ぐっ…ぅ…」
 声を漏らすまいと唇を血が滲む程かみ締めていたボリスだったが、一本の蔦が強引に口を抉じ開け
て口内に侵入を果たした。
 苦しげに眉を寄せて首を振るが、執拗に口腔を蹂躙していく。元は蝶を寄せる蜜が唇から溢れて喉
に伝い落ちていった。
 変質した蜜は厄介な性質を持っているようで、流し込まれた喉からじわりと熱が広がっていく。鋭
敏になった体を這う感触にボリスはとうとう堪えきれずに両膝を突いた。
 ぼんやりと意識すら絡めとられていく感覚につられるように抵抗する力も奪われていく。抗う力が
弱まったのを見て取ったのか、ずるり、と口中を暴れまわっていた蔦が離れていった。ようやくまと
もに呼吸をすることができたが、せめてもの抵抗として声を上げそうになるのを必死に堪える。
 それもかなり限界のところにきているのか、びくりと体を震わせて何度も息を詰めて耐えているが
ほとんど気力だけで堪えているようだった。
 一人で戦わせているルシアンを気遣う余裕もなく、ひたすら堪えているボリスを一刻でも早く開放
するためにルシアンも積極的に切り込んでいく。纏わりつく毒蛾を風を起こして散らした隙に、一気
に間合いを詰めて大本に切り込むと、変質してしまった蝶の木の若い木肌に躊躇いなく剣を突きたて
た。
 振動と木が倒れる重い音に閉じていたまぶたを押し上げると、倒れた木に目も向けず、こちらに駆
け寄るルシアンが見えた。
 「ボリスっ大丈夫?!」
 「ルシ…ぁっ…」
 今だボリスに絡みついたままの蔦を剣で切り払ったルシアンに抱き寄せられて、力の入らない体を
預けたが、肌を掠めた少年の手の感触に思わず声をもらした。
 「ボリス…?」
 「…見な…で、くれ…っ」
 ぞくりと背を走る快感に、声を上げたことに羞恥で赤く染まる顔を少年の肩口に押し付けながら、
苦労して裂かれた外套で肌蹴させられた肌を隠そうとする。
 耳まで染まったボリスの反応がかわいいと思うと同時に、自分以外がボリスの肌に触れたことが許
せなくて、するりと肌を撫で上げた。
 「ぁっ…る、ルシアン?!」
 肩と声を跳ね上げたボリスがルシアンを見上げると、いきなり深く口付けられた。反射的に逃げよ
うとするボリスを抱きしめて何度も深く舌を絡めると、初めこそ驚いていたボリスも力が入らない腕
をすがるように回して応える。
 「ん…んっ…ふぁ…」
 息継ぎの合間に声が漏れるのをとめることもできず、ようやく口付けから開放された頃にはいつの
まにか押し倒されてルシアンを見上げる格好になっていた。
 「ね…どこ触られたの?」
 消毒しなくちゃ。と耳元に囁きながらするすると裂かれた服の合間から手を差し入れて、丹念に撫
であげていく。
 「あっ…は…ん、ふ…っ」
 「そんなによかったの…?」
 びくびくといつもより過剰な反応に意地悪い囁きを吹き込むと、ボリスがゆるく首を振って否定す
る。
 「ち、が…っぁあ…樹液…がっ」
 ボリスが喘ぎ声の合間になんとか声を絞りだすと、ルシアンが興味を示して傍に落ちている残骸に
手を伸ばした。
 拾い上げた蔦の切り口からぬるりと粘着質な液体がルシアンの指を濡らす。少しの間見つめた後、
濡れた指で、無意識に踊るボリスの腰を撫でて秘所に指を差し入れた。
 「んぁあああっ…」
 ぬるりとした感触と指が中をかき回す刺激にボリスが大きく喉を逸らせて甘い悲鳴を上げる。残っ
た片手でボリス自身を擦り上げると、すぐに限界の近い声をあげた。
 「…イきたい?」
 軽く口付けて触れそうな距離で見つめながら問うと、ボリスの熱に潤んだ瞳がルシアンを見つめな
がら、こくこくと素直に頷いてきた。
 「ボリス…かわいい…」
 「ぁっぁっ…るしあんっ…やっ…ひぁああああああっ」
 耳朶を甘噛みしながらそっとささやいて、ルシアンが指の動きを激しくした途端、一際高い声を上
げて熱を放った。







 絶頂を迎えた余韻できつく握り締めていたボリスの手から力が抜けて、ルシアンの肩から滑り落ち
そうになる。その手を地に触れる手前で捕まえたルシアンは再度自分の肩へ回すと、指で肌を辿りな
がら足に添えて大きく開かせ、体を割り込ませた。
 一連の動作を目で追いながらも、早々に理性を手放したボリスは抵抗することなく荒い呼吸を繰り
返していた。
 ボリスの熱を受け止めたルシアンの指がもう一度内部に侵入してくる感触に、ボリスの体が大きく
反応する。聴覚を犯す水音と内部をかき混ぜる指に翻弄されておかしくなってしまいそうだと、溶け
た思考の端によぎった。
 ボリスの乱れ方に満足そうな笑みを浮かべながら、ルシアンはまだ蜜を零す蔦にもう一度手を伸ば
すと、今度は指についたそれをぺろりと舐めてみた。かすかに甘いような気もするがほぼ味がない。
だが、舌先からじんわりと体に広がる熱の早さに、ボリスのいつもより早い陥落の理由を悟ってきら
りとルシアンの目が光った。
 こんな少量で絶大な効果をしめすこの樹液を一回きりで終わらせるのはもったいない、と内心不埒
な算段をめぐらせる少年に気づくはずもない青年が、驚いた顔で見上げている。
 「ひぁっ…ルシアン!…やっ…それ…っ…はんっ…」
 驚いたボリスが止めようと手を伸ばすが手遅れで、すでに舐めしまったルシアンに逆に手をとられ
 ると、ぱくりと咥えられて舌で丁寧に指の形を辿られてしまった。そのわずかな刺激にすら大きく肩
を揺らして声を上げるボリスを欲に染まったルシアンの瞳が眺める。
 「こんなとこなのに、いつもよりすごくかわいい…」
 これからも外でしようか?と言外に含んだルシアンの言葉にそんなことになったらたまらないと必
死に首を振って否定するボリスを、冗談だよ、とあやす様に顔中に口付けながらルシアンは抜き差し
する指を増やした。
 「んぁっ…ふ…ぅ…っ」
 内部をかき混ぜる刺激が増えて、嬌声を上げながらボリスがきつく目を閉じる。ついさっき達した
ばかりだというのに、熱は収まりを見せるどころかますます勢いを増してボリスを狂わせていく。増
した快感のさらに上を求めて腰が揺れるのをどうすることもできずに、ボリスはただ甘く溶けていく
悲鳴をあげていた。
 「もういいよね…」 
 熱にかすれたルシアンの声に、ぞくぞくとボリスの背に快感が駆け上がる。早くその熱が欲しいと
素直にうなづいたボリスに嬉しそうな笑みを浮かべたルシアンは、すぐに指を引き抜いて自身をゆっ
くりとボリスの中に押し込んだ。
 「んんんっ…ひっ…や、ぁ…」
 「きつくない?」
 「だ…じょ…ぶ、だ…っ」
 奥まで腰を進めたルシアンが、肩で大きく息をするボリスを覗き込むと、ボリスがゆるやかに首を
振る。
 解れた内壁が待ちわびた刺激に絡みつく感触に、ルシアンも煽られて緩く腰を動かすとたまらずボ
リスが喉を逸らせて嬌声をあげた。
 慣らす時間も必要ないようだとわかって、すぐに動き始めたルシアンにあわせるようにボリスも控
えめだが腰を揺らして応える。
 「あぅっ…あっあっあっ…ひゃ…っ」
 律動にあわせて途切れる喘ぎに煽られたルシアンがさらに動きを早めると、またたくまに追い詰め
られたボリスが強く締め付けて、二人一気に高みへと押し上げられた。







 息が落ち着くまで二人抱き合ったまま余韻に浸る。放心状態からようやく自我を取り戻したボリス
がのろのろと起き上がると、つられてルシアンも体を起こした。
 まだ惚けた表情のルシアンの服を整えてやりながら、直接町に帰らなくて済んだことに内心安堵の
息をつく。上着やズボンはかなり派手に裂かれてしまっているし泥や体液やらでとても人目に触れら
れたくない状態なのだ。同じく裂かれてはいるが何とか羽織れる外套も土にまみれてしまっている。
 「ほら、ルシアン」
 「あ、まってよボリスーっ」
 いつまでもここにいるわけにはいかないと、ボリスがなんとか外套で服を隠して立ち上がった。魔
物の徘徊する森の中でいつまでもゆっくりしてはいられない。
 んーと伸びをしたルシアンが勢いよく起き上がってボリスの隣に並ぼうとしたが、ふと足を止めて
足元の切断した蔦を数本拾い上げた。
 それをすばやく空になっていた瓶のなかに押し込むと、付いてこない親友を不思議に思ったボリス
が振り向くのに慌てて駆け出した。
 「どうした?」
 「なんでもなーいっ」
 ボリスの問いににっこりと無邪気に笑いながら、青年に追いついた少年は隣に並びながらボリスの
指に自分の指を絡めた。
 驚くボリスに構うことなく繋いだ手を引っ張るようにしてルシアンは楽しそうに小屋へと急いだ。







 それから度々ルシアンの密かな策略にハマるボリスがいたとかいないとか…。









 ※言い訳※
 お世話になってるクラブのクラメンさんから頂いたネタ第二段w
 今回は触手ですよ。飛龍さんの趣味が相当走りまくってる気がしないでもないですがキニシナイ方
向で。(ぁ
 ……もう少しキティク方向に行きそうになったのはここだけの話に…w(や、だっておいらの本能
の赴くまま突っ走ったらとんでもない事になっちゃうしwww)
 TWて触手系のMOB少ないよね…(おま














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